王子の盲愛
「わぁー可愛い~」
マンションで、ゆっくりしている二人。

理世がスマホを見ながら、目をキラキラさせて言った。
「ん?何?見せて?」
理世の膝枕で横になっていた王弥が、起き上がりスマホを覗き込む。

「この、リップだよ!」
「そうだね!」
「欲しいなぁ~買っちゃおうかなー!」
「え?」
微笑み言った理世に、王弥は不思議そうに首を傾げた。

「え?って?」
「理世ちゃん、リップ必要?」

「え?どうして?」
「すぐ、取れるじゃん!」
「え?」
「それに僕、嫌いなんだよねー、リップの味」
そう言いながら、理世の口唇をなぞる王弥。

「え?王弥くん、何言ってるの?意味がわからない」
「とにかく、理世ちゃんにリップは必要ないよ!」
更に口唇をなぞり、顔を寄せてきた。

「え?あの…それって、どうゆう……」
「ん?わかんない?」
「んん…王弥…く…////」
「…………だったら、教えてあげる…!」
そう言って、口唇を重ねた。

「んんっ…王弥…く…苦し……」
王弥に口唇を貪られ、必死に押し返す。
「あ…ダメ!
まだ、味わってないよ!口唇、離さないで?
ほら、もう一回!」
「んぁ…お願…んん…」

「理世ちゃんの口唇…美味しっ…!」
口唇を散々貪り、口元で囁いた王弥。
そして更に、理世の口唇や頬に啄むようなキスを繰り返した。
「んんっ…くすぐった…い、よ……フフ…」

「んー可愛い…僕だけの理世ちゃん……
ところで、わかった?
リップがいらない理由」
「え?わ、わかんない……」
「フフ…ヒントは、キスだよ!」

「キス?」
宙を見上げて、考える理世。

【すぐ取れるし】
【僕、嫌いなんだよねー、リップの味】

すぐ取れる?
リップの味……?

「あ!」
「わかった?」
「う、うん…////」
「だからね!リップ、必要ないでしょ?」
「でも、口唇……乾燥するし…」
「大丈夫!僕が、いつでも潤わせてあげるよ!」

そしてまた、王弥の顔が近づき……何度も口唇を重ねたのだった。

夢中で王弥のキスに答えていると、理世のスマホが震えだした。
画面には“お母さん”の文字。

「あ、理世ちゃん、お義母様からだ!」
「うん、ちょっとごめんね。
……………もしもし?」
『理世?今大丈夫?』
「うん、どうしたの?」
『◯◯中学、廃校になるらしいわよ』
「え……?嘘……」
『それで、最後の同窓会があるらしいの。
葉書が来てるんだけど、どうする?』
「ちょっと、待って!
………王弥くん」

「同窓会、行きたいの?」
「へ!?」
「お義母様の声、駄々漏れだよ(笑)」
「そうなんだ。お母さん、声大きいから…(笑)」
「いいよ。最後なんでしょ?
あ、でも!僕もついてくけどね!」

「え……!?」
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