月夜に笑った悪魔 SS


一条組の浴室も浴槽も、すごく大きくて広い。
和テイストで、例えるならここは旅館の温泉。

だから浴槽に2人は余裕で入れる。



私が入ったら濡れるじゃんか。
……もうそれなりに濡れてるけどさ。それでもまだびしょ濡れってほどじゃない。


服を着たまま浴槽に一緒に入るのも恥ずかしいし、できることなら入りたくない。


でも暁は本当に私がとなりに行かなくちゃ出ないだろうし、どうしよう。




私は頭を巡らせ……。
あることを思いつき、「……わかった」と返事。



暁は“となりに来たら”としか言ってない。
だったら浴槽に入って立ったままいればいいんじゃないか。


それだったらこれ以上濡れないで済むし、なんて考えながら浴槽へと入った時に──……暁は、私の手をつかむと強い力で引っ張った。



「ちょっ……!なにす──、っ!」


そのせいで私の足は数歩前へと出て、つるっと滑り……。

バシャーン!、と大きな音を立てて全身浴槽の中へと入ってしまった。


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