月夜に笑った悪魔 SS
「はい、ゆっくり飲んでね」
「…………」
「暁?」
コップを近づけるけど、なぜか彼は口を開かない。
そしてなぜか不満そうな表情をしてる。
今度はなんだ。
なにがしてほしいんだ。
「口移し」
ぼそっと聞こえてきた声。
“口移し”、って確かにその単語が耳に届いた。
口移し、って……。
なんか、前にも同じようなこと言われた気がするんだけど?
……あれは確か、一条組と月城組の抗争がはじまりそうだった時のこと。
月城組をとめるために紫乃の車に乗っていた時に……私は、暁に口移しで水を飲ませたんだっけ。
思い出すだけでも恥ずかしい。
っていうかあんなやばい状況でなにしてんだ、私たちは……!