月夜に笑った悪魔 SS


「ゆっくり飲めば大丈夫だから!!」


私は口移しで飲ませるなんてことはせず、コップを彼の口につけてゆっくり傾けた。


不満そうな顔をしながらもごくりと動く喉。
ゆっくり飲ませているつもりだったけど、彼の口の端からは水がこぼれていく。



「ごめん……っ」


コップを置いて、手に取ったのは近くにあった箱ティッシュ。


ティッシュを手に取りそれで拭こうとしたけれど。
彼は自分の左手で拭った。


……本当に、コップくらいは左手でも持てたんじゃ?



「み、水はもう自分で飲んで」


はい、と彼にコップを渡そうとすると、暁は急にギプスをしている右腕をおさえて下を向いた。


< 8 / 36 >

この作品をシェア

pagetop