偶然から始まった恋の行方~敬と真理愛~
ハアハアハア。

救急外来の出口を抜けても足を止めることなく、私は走り続けた。
子供じみた態度をとった自分自身が恥ずかしくて、少しでも病院から離れたかった。

考えてみれば、朝から体はフラフラだ。
動くのだってつらっかたし、ほら今だって足がもつれて、

「あぁっ」
何の障害物もないところでつまずいて、

ヤバイ、転ぶ。

頭でわわかっているのに体は反応できなくて、

ドンッ。
体から道路に打ち付けられた。

「痛ったーい」
反射的に声が出る。

肩、腰、腕。
衝撃の後に痛みが来て、身動きができない。

ああ、最悪。
きっと服もボロボロになったはずだし、誰かに見られていれば恥辱以外の何物でもない。
なぜか頭だけ冷静な私は、打ち付けられた路上でそんなことを考えていた。
しかし、

ブブブッブー。

私は忘れていた、ここが車道の上であることを。
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