追放された水の聖女は隣国で真の力に目覚める~世界を救えるのは正真正銘私だけです~
貧しいロストブがかろうじてバーヘリダムと対等の立場にいられるのは、大災厄を鎮められる聖女を生み出す特別な国であるからに他ならない。

しかしながらシュナイザーに馬鹿にする意図はないようだ。

「失礼しました」と詫びてからルビウス三世に提案する。

「それでしたら、その乙女を我が国がもらいましょう。私の妻として」

若いながら、支配者に相応しい低く張りのある声をしている。

聖堂内にどよめきが起こる中で、モニカは目を丸くして彼を見つめた。

(今、妻って言った……?)

背が高く手足がスラリと長い彼が、大きな歩幅で祭壇に上がってくるとモニカの目の前に立った。

夜風のような涼しげな印象の切れ長の目を弓なりに細める彼。

機嫌がよさそうでも、冷酷非道との噂の皇帝に見下ろされたらモニカは肩をビクつかせてしまう。

「お前を娶る。異存はないな?」

そう問われて、思わず首を横に振った。

とてもじゃないがプロポーズに聞こえない。

国外追放されて路頭に迷うのと同等に恐ろしい要求に思えた。

どんなひどい目に遭わされるだろうとモニカは青ざめる。

するとシュナイザーの眉間に深い皺が刻まれた。

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