契約結婚のススメ
 抱きしめてキスしたい。一晩中でも愛したい。

 そして聞かないと。

 どうして最後にあんなふうに顔を曇らせて電話を切ったのか。

「ボス……」

「ん?」

 ナオミもピーターも、ふたりとも目を丸くして固まっている。なにをそんなに驚いているんだか。

「なんだよ」

「だってボスの口から、まさかそんな」

「はあ? とにかく。そのためにもさっさと終わらせるぞ。明日から頼むな」


 明くる朝、陽菜に電話をかけた。

 だが、陽菜は電話には出ず、メッセージが送られてきた。

【ごめんなさい。ちょっと手が放せなくて】

 参ったな。このままじゃ気になって、集中できやしない。

【陽菜、何時でもいい。電話を待っている】

 既読はついたが返信はない。出勤する直前まで確認したが、やはりなにも返ってこなかった。

 おいおい、余計気になるだろ。

 ランチタイムに電話が鳴り、陽菜かと思えば美加だった。

「なんだ」

『いきなり失礼ね。私そろそろ東京に帰るのよ。ディナーでもどうかと思って』

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