契約結婚のススメ
 シノさんはちょっと前に起きてきたが、フルーツを口にしただけでまた部屋に戻ったそうだ。酔ったせいだけじゃなく、疲れが溜まっているのだろう。

「おかあさん。シノさん大丈夫かな。かなりストレス溜まっているみたいね」

「うーん……。しっかりした方だから心配ないと思うけど」

 義母は相変わらず、悩ましげな表情だ。

「陽菜、今日は帰るの?」

 今日の予定はない。陶だまりの店番は祖父の一番弟子が頑張っているはず。そんなに混むような店じゃないし大丈夫だろう。

 彼も慣れないだろうから、様子を見に行こうかなと思ってはいた。

 行くとは言ってないから、さてどうしよう。

「うーん」

「泊まりなさいよ。三人で夕食にしましょう。シノさんも話を一緒に聞いてあげて」

「そうだね。わかった」

 枇杷亭はもうどうなってもいいとは思っていたけれど、実際に悩んでいるシノさんを目の当たりにすると放ってはおけない。なにかできるわけじゃなくても、せめて寄り添うだけでも。

< 145 / 203 >

この作品をシェア

pagetop