契約結婚のススメ
 あれこれ考えたところで離れていたのではなにもわからない。一日も早く東京に帰るために仕事をなんとか終わらせないと。



***



 どうして電話なんかしちゃったんだろう。

 朝風呂の湯船に浸かってため息をつく。

 一貴さんの背景に映り込んだ女性の影が頭を離れない。

 浮気もしていいし、愛なんていらないって言ったのは自分なのに、こんなに傷ついて馬鹿みたい。

【陽菜、何時でもいい。電話を待っている】

 どうしよう。顔を見せる自信はないし。

 お風呂から出て脱衣所の時計を見れば十時だ。ロサンゼルス時間で十七時か。

 着替えてリビングに行くと義母がいた。

「どう陽菜、二日酔いは落ち着いた?」

「うん。もう大丈夫」

 今朝は最悪だった。頭痛と胸やけで朝食も取れず。と言っても、それはおかあさんもシノさんも一緒だけど。

 再びベッドに潜り込み、目覚めたところでお風呂に入った。

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