契約結婚のススメ
 森下に追い立てられるようにして、執務室を出た。



「ただいま」

「あれ? おかえりなさい。もういいの?」
 ホテルの部屋で、陽菜は雑誌を読んでいた。見ればここロサンゼルスの観光雑誌だ。

「これから三日間休みをもらったよ。一緒に観光しよう」

「ほんとに? でも休まなきゃ」

 心配そうに眉を下げる陽菜の頭を撫でた。

「死ぬほど寝たから、もう大丈夫だよ」

 昨夜お前を抱いたから、充電もばっちりだ。

 な? 俺のかわいい妻よ。

 顎をすくって、柔らかい唇にキスを落とす。

「どこか行きたいところはあるか?」

「ハリウッド、ロデオドライブ、ビバリーヒルズ。みんな行きたい」

「よーし。じゃあとりあえずロデオドライブで買い物三昧しよう」

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