契約結婚のススメ
「というわけだ、ピーター。俺は三日ばかり休もうと思う。その間にできる限り話を進めておいてくれ」

「はい」

 ふたりが部屋から出たところで、森下が溜め息をつく。

「奥様が来てくださったお陰ですね」

 まあな。陽菜が来なきゃ、一日も早く東京に帰るため無理を言ってでも仕事に復帰しただろうから。

「お前も忙しいのに、悪かったな。陽菜も感謝していたよ」

「いえ、こちらこそ。おかげさまで道中楽しかったです」

「なにを話したんだ」

 森下はニヤリと口角を歪める。

「奥様は、専務がものすごーく、女性にモテると思っていらっしゃるそうですよ」

「なんだそれは」

「『私が行ったら邪魔じゃないでしょうか』ってしきりに気にしてらして。よくよく聞くと、どうも女性と住んでいると思われている節が」

「はあ? なんでそうなるんだ」

「まあ、私のほうでできる限りのフォローはしておきましたが、よほど信用ないようですね。お休み中にどうぞ名誉挽回してください」

「ああ、言われなくてもそうするよ」

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