契約結婚のススメ
「あ、すみません。美加は身内でしたね」

「気にしないで。私も叱っておいたわ。泣きながら謝っていたけれど」

 はぁ、と深い溜め息をつく。

「美加は陽菜に嫉妬していたのね。陽菜は沢山の愛情に包まれてきたから、それがうらやましかったみたい。あの子はは愛されなかった子だから」

 でもだからって。

 希子さんが許しても俺は許せない。

「陽菜は、もしかしたら戸惑っているのかもしれないわね」

「なににですか?」

「初恋なのよ」

 フフッと希子さんは笑う。

「初恋?」

 突然の初恋宣言に耳を疑った。

「ええ。私が厳しく言って、あの子には飲み会の参加もさせなかったし」

「あ、なるほど」

 おかげでキスも俺が初めてなわけか。

「ずっといい子でいたから、今回は遅い反抗期っていうか。爆発しちゃったのね」

「それが、離婚の選択ですか?」

 おもしろそうに希子さんは笑ってうなずく。

 もしかして酔っているのか?

 俺は全然楽しくないが。

「マリッジブルー的な」

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