契約結婚のススメ
『あの子は純粋なの。変な虫がつかないうちに、いい相手を見つけてあげなきゃ』

 ってことは現在二十二歳?

 俺に言わせれば子供に毛が生えたようなものだと思った。

 娘とはいっても、あくまで希子さんの再婚相手の娘だ。血縁ではない。そんな若くに結婚を強いるなど母娘関係はうまくいっていないのか。

 母の友人ではあっても、そこまで希子さんの人となりを俺は知らない。

 いずれにしろ俺には関係ない。とくに興味もなくコーヒーを飲み、希子さんはスマートホンを母に差し出した。

「陽菜よ。すっかり大人になったでしょ」

『あら、ちょっとみない間にまた綺麗になったわね。一貴、あなた覚えてない? インターハイで優勝した時、希子と一緒に応援に来てくれた女の子よ』

『ああ、あの時の』

 はっきりと記憶にある。

 希子さんの後ろに立ち、恥ずかしそうに丸い頬を染めて、ひょっこり顔を出した女の子。

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