恋はゆるく,深くがモットーでしょ?
「え?」



言われた通りあげると,大きな影に覆われていた。

ーちゅっ

一瞬だけの軽いキス。

それもおでこ。

~っ

私がそこを両手で押さえると,悟は人差し指を口元に当ててクスクス笑う。



「今は,これで我慢してあげる。楓は俺のお嫁さんになるんだから大事にしなきゃね。今は」



意味深に笑った悟は私に右手を出す。



「ほらっもう誰もいない時間だ。帰ろ?」

「……っうん!」



そっか,堂々と一緒に帰ったり出来るんだ。

私が,彼女だから。



「うん!」

「何回言うの? 家どこ?」



聞かれて答えると,結構近かった。

私達は同じ電車で同じ市内から通っていたらしい。



「やった! 長く一緒にいられるね!」

「もう,何で楓はそんなに可愛いの?」



悟の可愛いは良く分からないし照れちゃうけど,幸せだった。
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