御曹司の激愛に身を委ねたら、愛し子を授かりました~愛を知らない彼女の婚前懐妊~
黎が自分と同じく不安な気持ちを持ち合わせていただけでなく、感情を高ぶらせ想いを菫にぶつけてくれた。
ふたりの距離がさらに近くなったようで、ぐっとくる。
「遠慮なく大好きって言えるとわかっていても、やっぱりまだ慣れないね。照れちゃうし」
黎の腕を抱きしめ、菫はしみじみとつぶやいた。
「そうだな」
空いている黎の手が、菫の頭を優しく撫でる。
「不安にさせて、ごめんね」
「だからいいって。忘れろ」
菫の楽しげな声に、黎は声を荒げる。
自分の弱気な言葉を悔んでいるのがわかり、菫はクスクスと笑う。
やがて一度口にした言葉はどうにもできないとあきらめたのか、黎は力なく息を吐いて菫と視線を絡ませ合う。
お互いしか目に入らない特別な感覚。
真空の中にふたりして放りこまれたような特別な感覚に包まれ、菫は一心に黎を見つめた。
やがて黎はゆっくりと口を開いた。
「俺も、好きだよ」
いつも通りの落ち着き払った黎の声が、今までになく甘く聞こえた。
菫はその甘さを全身で受け止め、ぎゅっと目を閉じ幸せをかみしめる。
「私も、好き」