御曹司の激愛に身を委ねたら、愛し子を授かりました~愛を知らない彼女の婚前懐妊~
そのときたしかに黎はダッフルコートを着ていた。
「あ、あの、それって……えっと」
思い当たることがありすぎて、菫は慌てる。
それまでパソコンに向かって作成していた文章の続きが頭の中から一気に消えていく。
「慌てなくていいですよ。私、こう見えて口は硬いので安心してください。それに、御園さんを見つめる紅尾さんの蕩けるような顔を見たら、からかう気もなくなっちゃうし。要するに、お似合いすぎて邪魔者は退散せよってことです」
「笹原さん、あの。それってあそこにいたってことよね」
たどたどしい声の菫に、笹原はにっこりと笑う。
「はい。あの近くの店で彼と食事をした帰りだったんです。すれ違ったのにも気付かなかったでしょう? 御園さんたち、お互いしか見えてなかったから当然ですけど」
「え、そうだったの? だったら声をかけてくれたらよかったのに」
両手を頬に当て、菫は恥ずかしそうに声をあげる。
「無理ですよ。声なんかかけたら御園さんの腰を抱いて我が物顔で独占する紅尾さんに睨まれるのは確実ですからね」
「睨まれるって。黎君は優しいからそんなことしないと思うけど」
「あ、あの、それって……えっと」
思い当たることがありすぎて、菫は慌てる。
それまでパソコンに向かって作成していた文章の続きが頭の中から一気に消えていく。
「慌てなくていいですよ。私、こう見えて口は硬いので安心してください。それに、御園さんを見つめる紅尾さんの蕩けるような顔を見たら、からかう気もなくなっちゃうし。要するに、お似合いすぎて邪魔者は退散せよってことです」
「笹原さん、あの。それってあそこにいたってことよね」
たどたどしい声の菫に、笹原はにっこりと笑う。
「はい。あの近くの店で彼と食事をした帰りだったんです。すれ違ったのにも気付かなかったでしょう? 御園さんたち、お互いしか見えてなかったから当然ですけど」
「え、そうだったの? だったら声をかけてくれたらよかったのに」
両手を頬に当て、菫は恥ずかしそうに声をあげる。
「無理ですよ。声なんかかけたら御園さんの腰を抱いて我が物顔で独占する紅尾さんに睨まれるのは確実ですからね」
「睨まれるって。黎君は優しいからそんなことしないと思うけど」