御曹司の激愛に身を委ねたら、愛し子を授かりました～愛を知らない彼女の婚前懐妊～

この場の雰囲気を壊さないよう菫は果凛に大丈夫だと小声で告げ、側に来ないようにと手で制した。

「でも……」
　
一度立ち上がろうとしたものの再び腰をおろし、果凛は物言いたげな視線を菫に向ける。

「もう大丈夫。……ごめんね。えっと、最近仕事が立てこんでてそれで――」

「もしかして、赤ちゃん？　そうだよね」

言い訳を口にする菫を遮り、果凛は確信に満ちた声で問いかける。

きっぱりとした声の中に菫を心配する優しさを感じとり、菫は渋々うなずいた。

「赤ちゃんのお父さんは、黎さんだよね。おめでとう」

果凛は驚きながらもすぐに穏やかな笑みを浮かべ、祝いの言葉を口にした。

「……うん、ありがとう」
　
菫は果凛に妊娠のことを伝えられてホッとしたものの、黎の海外赴任の話が気になり、結局ハンバーグを完食できなかった。
　





食事を終え果凛と別れてマンションに戻った菫は、パソコンで紅尾ソリューションのホームページを閲覧した。

以前黎が自社のホームページに黎が所属するシステム開発部の紹介記事がアップされると言っていたのを思い出したのだ。

「あ、あった」