御曹司の激愛に身を委ねたら、愛し子を授かりました~愛を知らない彼女の婚前懐妊~
「菫大丈夫? ずっと気になってるんだけど、顔色が悪いよ。それに菫が大好きなハンバーグなのにそれほど食べてないし。なにかあった?」

果凛はナイフとフォークを置き、菫の顔を覗きこむ。

メイク越しでも菫の顔色は優れず目に力がない。

「黎さんと一緒に暮らしてるって聞いて安心したけど、なにか気がかりでもある? まさか黎さんとうまくいってない?」

「ううん、それは大丈夫。黎君とはうまくいってるし、大切にしてくれる」

菫は果凛を通じて航が誤解しかねないと思い、身を乗り出し否定する。

「ちょっと最近仕事が忙しくて疲れが顔に出ちゃったかな。本の発売も――んっ」

「菫、え、大丈夫?」

菫は突然吐き気を感じ手元のナフキンを口に当て身を丸めた。

やはりつわりは甘くない。黎の海外赴任の話に動揺し、体調が乱れたのかも知れない。

菫は吐き気が少し治まったタイミングでグラスを手に取り炭酸水を口に含む。

「気分が悪いの?」

菫の様子に驚いた果凛が菫の元に来ようとするが、店内で多くの客が食事を楽しんでいる。

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