御曹司の激愛に身を委ねたら、愛し子を授かりました~愛を知らない彼女の婚前懐妊~
「何度もすみません。これが最後の宅配だと……え、どうして?」

「おい、モニターでちゃんと確認したのか? いきなりドアを開けるなって何度も言ってるだろう」

ドアを開けると、なぜか菫の目の前には明日帰国予定の黎が立っている。

「いくらここがセキュリティ万全でも気をつけろよ」

黎の手が少し雑に菫の頭を撫でる。

いきなりドアを開いたので怒っているようだ。

「どうして? 明日帰ってくるんじゃなかったの?」

頭を撫でられながら、菫は信じられない思いで黎を見つめた。

黎は不機嫌に眉を寄せていて、疲れも見える。

「本物?」

菫は恐々と黎の顔を覗きこみ、頬に手を当ててみる。

その途端、腕を掴まれ引き寄せられた。

「本物に決まってるだろ。なんだよいったい。せっかく前倒しで仕事を終わらせて帰ってきたのに」

「ごめんなさい。だって明日だと思ってたから」

黎の胸に抱きこまれた菫はおずおずと顔を上げる。

すると黎の首筋にある薄い傷痕が目に入り、にっこりと笑った。

「本物の黎君に間違いない。この傷痕、この間私がつけちゃったから、絶対本物」

黎の首筋にあるほんのり赤い傷痕。

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