御曹司の激愛に身を委ねたら、愛し子を授かりました~愛を知らない彼女の婚前懐妊~
「彼女とは大学の卒業直前に付き合い始めたんだ。だけど、結局うまくいかなかった。理由のひとつは彼女は俺の立場に魅力を感じていただけで本気で俺を好きなわけじゃなかったということ。紅尾ホールディングスの社長夫人。彼女はそれだけを求めてた」

「そんな。社長夫人なんて、相手が好きなら頑張れるけど、そうでなかったら荷が重すぎて大変なだけなのに」

菫はおずおずと顔を上げ、黎の気持ちを気にかける。

黎はその視線を苦笑いで受け止め話を続ける。

「まあ、社長夫人になりたいから俺と結婚したいとはっきり口にする彼女はある意味すがすがしくて、彼女との結婚もアリかなと考えた時期もあった。恋愛感情を持ちこまず仕事に集中できるだろうし、彼女は彼女で肩書きさえもらえれば満足だって言い切ってたから」

あっさりそう言って笑う黎に、菫は眉を寄せる。

「だったらどうして? それほど社長夫人になりたかったのに、彼女はどうして黎君を振ったの?」

彼女と別れたときの黎の激しい落ちこみぶりを思い出し、菫は胸が痛んだ。

< 69 / 294 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop