御曹司の激愛に身を委ねたら、愛し子を授かりました~愛を知らない彼女の婚前懐妊~
菫を抱きしめ苦しげな声でそうつぶやく黎の身体は小刻みに震え、冷静さからはほど遠い。

あふれ出る感情に対処できず、まるで菫に縋り付いているようだ。

「わ、私……」
 
菫は黎の重みを肩で受け止めながら、頭の中で黎の言葉を何度も繰り返す。

視線の先には二年もの間黎を見守っていたはずのくす玉。

黎はそれをどれほど切ない想いで見てきたのだろう。

いつの間にか頬を伝っていた涙を手の甲で拭い、菫は黎にしがみつく。

「私、初めて会ったときから黎君が気になってどうしようもなかった。だけど彼女がいたからあきらめるしかなくて」

黎の胸に顔を埋め、菫はひと息に想いを告げた。

その瞬間、黎がいっそう強く菫を抱きしめた。

「結婚するなんて嘘をついてごめんなさい。恋人がいる黎君に好きって言ってしまいそうで……だけど、ちゃんと言えばよかった。私に勇気がなかったせいで黎君を苦しめたよね」
 
ひしと抱きつき、菫は長い間言えずにいた想いを吐き出した。

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