御曹司の激愛に身を委ねたら、愛し子を授かりました~愛を知らない彼女の婚前懐妊~
かわいいだの美人だのとからかわれて戸惑っているのだと思われたようだ。

「大仕事が終わってホッとしたのはわかるが、酒に飲まれるな」

「……ごめんね、御園さん。でも、酔ってなくても御園さんはかわいいよ。俺、初めて見たときからそう思って――」

「塩田っ」

塩田は一瞬反省の色を浮かべたものの菫にウィンクまで投げてよこし、野島に再び怒られている。

「悪いね。この二日間気を張っていたのもあって酒が回るのが早かったみたいだ。あとできつく言っておくから」

頭を下げる塩田に、菫は慌てて「大丈夫ですから」と答えた。

二十五歳になるというのに男性との付き合いが苦手で気軽に冗談を交わすことすらうまくできない。

菫は恋愛経験のひとつもない自分のこれまでを、後悔した。

「そういえば御園さんは幼稚園の先生を目指していたと言ってたね。いずれはご両親の幼稚園を手伝うの?」

「いいえ、そのつもりはないんです」

野島の問いに、菫は気が進まないながらも答える。

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