褒めて愛して支配して
 触れては離れて。離れては触れて。感触を確かめて。角度を変えて。舌で舌をなぞって。気持ちよさに声が出て。柏木の制服を掴んで。縋って。上り詰めて昇天しそうな、享楽による逝く感覚に全身が震えた。触られてないのに。キスだけで。コマンドだけで。昂る感情が吐き出されそうになる。

 散々口内を掻き回して。糸を引きながら唇を離した柏木は、は、あ、と情けない声を漏らしてくらくらしている俺を見た。見て。見て。見るだけで、何もしてくれなかった。また、また、してくれない。柏木。して。俺、たくさん従った。柏木。

 Sub drop。呼吸がままならなくなり、目の前がぐるぐると回っているような気持ち悪さを覚えた。褒められずに放置され、体がガタガタと震え出す。柏木。柏木。

 お仕置き、躾。されるだけされて、褒めてもらえない。それでパニック。いつも同じ流れ。いつも同じ状況。俺を殺そうとしているわけじゃないことは知っているし、苦痛に歪む顔が大好物だという柏木の性癖も理解しているつもりだ。それでも、この時間は辛くて苦しい。早く、早く、柏木。欲しい。
< 9 / 13 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop