たすけて!田中くん
————なのに、隣の席のアイツは今日もうるさい。
「田中くん田中くん!」
「……」
喜久本は目をキラキラと輝かせながら、声をかけてくる。
「田中くん田中くん!」
「喜久本、呼びすぎ。聞こえてるから」
最初の静かな喜久本は嘘のようだ。
それに今日はすごく機嫌がいい。なんかあったんだろうな。
「じゃじゃん! レモンミルクジュースっていうの見つけた!」
「……うげ」
自慢げに見せてくるレモンミルクとかかれたパックジュースはお世辞にも美味しそうには見えない。
それなのに喜久本は嬉しそうだ。
「それ美味しいの」
「わかんない!」
「わかんないのかよ」
「でもさ、気になるじゃん」
好奇心旺盛だな。俺だったら絶対無理だ。