たすけて!田中くん

————なのに、隣の席のアイツは今日もうるさい。


「田中くん田中くん!」

「……」

喜久本は目をキラキラと輝かせながら、声をかけてくる。


「田中くん田中くん!」

「喜久本、呼びすぎ。聞こえてるから」

最初の静かな喜久本は嘘のようだ。

それに今日はすごく機嫌がいい。なんかあったんだろうな。


「じゃじゃん! レモンミルクジュースっていうの見つけた!」

「……うげ」

自慢げに見せてくるレモンミルクとかかれたパックジュースはお世辞にも美味しそうには見えない。

それなのに喜久本は嬉しそうだ。


「それ美味しいの」

「わかんない!」

「わかんないのかよ」

「でもさ、気になるじゃん」

好奇心旺盛だな。俺だったら絶対無理だ。





< 214 / 232 >

この作品をシェア

pagetop