たすけて!田中くん
「だから、はいっ! これは田中くんのね」
「喜久本のは?」
「あるよ! ふたりで飲もうと思って二個買ったの」
俺の分といって渡されたレモンミルクのパックジュースをまじまじと見つめる。
一緒に飲もうという喜久本に流されて、ストローを差し込む。
「よし、飲もう! 覚悟はいい?」
「……罰ゲームかよ」
一斉にレモンミルクを飲んでみたものの、予想どおり不味い。
ミルクとレモンの甘酸っぱさが混ざってなんとも言えない味だ。
だけど……
「まっずいね!」
そう言って笑う喜久本を見て、自然と顔がほころんだ。
「あ、笑った! 笑顔だけは天使だね!」
「は? お前これ二本分飲めよ」
「えっ」