たすけて!田中くん
「たっなかくーん!」
「……うるさい」
「迎えありがとー!」
酔っ払ってるからか昔の呼び方に戻ってるし、テンション高い。
夜道を歩き出すと、腕に抱きついてきた。痛し歩きにくい。自分の力が強いことを自覚してほしいんだけど。
「うへへ〜、田中様〜」
「腕に巻きつくな」
「え〜」
なんだコイツは。この酔っ払い。
しかも、田中様ってなんだよ。恥ずかしいから夜道で騒ぐな。この酔っ払い。
「ねー、どこ行くの?」
「家に帰るに決まってんだろ。何時だと思ってんだよ」
「え〜」
ふらふら動くから危なっかしくて目が離せない。これで転んで怪我でもしたらどうすんだ。