たすけて!田中くん
「あと百瀬さん、自分のゴミはきちんと捨てて」
「茅織って呼んでほしいなっ!」
「はいはい、茅織ちゃん。いいから捨ててきて」
百瀬さんの下の名前を呼ぶと表情が明るくなり、自身が食べ散らかした袋にまとめてゴミ箱に捨てにいく。
それに付き添うサトシは、まるで忠犬のようだった。
「茅織と仲良くやれそうだな」
敦士が腕を組んで偉そうに言ってくる。先ほどからただ私たちの会話を聞いて眺めているだけの彼は、暇なのだろうか。
「誰のせいでこんなことになってると思ってるんですか」
「俺が巻き込んだせいだな」
「そもそも、私を巻き込む必要がどこにあるのかわからないです」
不満を漏らすと、悪びれもなく口元を歪めた。
「お前は俺の彼女だろ?」
まるで極悪人のような表情で、そんな言葉を言われても、まったくきゅんとこない。おそらくは巻き込んだ理由を教える気はないのだろう。
「違います」
「でもそういうことになってんだぞ」
「私のこと好きでもないのに、彼女っておかしくないですか?」
百瀬さんがいるじゃないか。〝彼女〟という存在が必要なのなら、この子でいいはずだ。百瀬さんは彼らの大事な存在なのは確実だというのに、関係性がまだ不透明だった。
視線が交わり、数秒間無言が流れる。
「俺はお前のこと、好きだけど」
低い声で私に向かって囁いてきた。