たすけて!田中くん
————そうして私の強制的に連行される日々が始まった。
ふかふかのソファは座り心地は好きだし、行くたびに出してもらえるジュースも嬉しい。けれど、百瀬さんがつけている苺の香水は苦手。それに周りには強面の男子生徒たちもいて居心地はあまりよくない。
「なぎちゃん〜! これ開けて〜?」
百瀬さんが甘えるように私にペットボトルを差し出してくる。
「蓋くらい自分であければ……いや、あけてください」
「だ、だって硬くって開けられないの!」
「だから! すぐ泣くな……です」
目をうるうるとさせながら、しょんぼりとされる。どうやったらこんな自分ではなにもできない子になるんだろう。
「同じ学年なんだし、敬語はいらないから開けて?」
敬語はどうだっていいから、それくらい自分でやってくれ。と突っ込みたくなる気持ちを抑えた。
けれど、本人が普通に話していいといっているので、変に気を使わなくてもいいのかもしれない。
「じゃあ……普通に話すけど、自分で開けて。なんでも人にやってもらえると思わないで」
「な、なぎちゃん……! やっと敬語がとれた!」
耳元で甲高い声を出されて、少し体を百瀬さんから離す。どうしてそこまで感動されるのかわからない。
「茅織にキツイ言い方するなよ!」
私を見張るように傍にいるサトシが割って入ってくる。ものすごく面倒くさい。
どうやら本当に女友達がいないらしい百瀬さんは私にべったりとくっついてくる。
友達ができて嬉しいらしいけど、私はゆた先輩に脅されてここにいるだけだ。純粋な友達ではないのに、喜んでいる百瀬さんを見ていると複雑な心境になる。