皇子の婚約者になりたくないので天の声に従いました
「あ、シャノンです。魔導科の」

 ミレーヌが答えると、母親が顔を輝かせた。
「シャノンって、あのシャノン? シャノン・メイビーよね?」

「はい」

「彼女ね。ものすごぉおおく優秀なのよ。ここ、十年に一人の逸材よ。あの第一皇子の婚約者候補に名前はあがったのだけれど、身分がどうのこうのって言って、上が猛反対。私としては、あの第一皇子の相手にはもったいないと思っていたから、ちょうどよかったわ。で、そのシャノンのエスコートにマーティンってことかしら?」
 母親のマシンガントークの中には、ちょっと不敬罪に該当するところが含まれているのではないか、と思ったが、聞かなかったこととする。

「そうです」とミレーヌは頷き。
「お母様。シャノンがいじめられていたこと、ご存知でしたか?」

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