皇子の婚約者になりたくないので天の声に従いました
「まあ、うすうすわね。結局、妬みなのよね。こっちのほうで何か言っても、またその結果がシャノンに戻ってしまうし。どうしたらいいかわからなかったのよね。それは私の立場として情けないと思っている。でも、実力で見返してくれればいい、そう彼女に言うことしかできなかったわ」

「シャノン。屋上から突き落とされたんです」

「え? 初めて聞いたわ」
 母親が驚く。

「ええ、誰にも言っていません。そのとき、シャノンを助けてくれたのがお兄様なのです」
 と、なぜかミレーヌが胸を張る。

「よくやった、マーティン。騎士の鏡だ」
 父親が口を挟んだ。

「シャノンが、お兄様の優しさと包容力に惚れたようです。そこで、できれば卒業パーティでエスコートをお願いしたい、と私に相談してきたわけです」

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