皇子の婚約者になりたくないので天の声に従いました
「厳密にいえば、使えないのではありません。使ったことがないのです」
 ミレーヌのその答えも適切である。それに、先ほども使ったことがないと兄には伝えたはず。

「ですから、初めて使います。私の初めて、でよければ捧げます」

「いい。ミレーヌの初めてでいい。失敗してもいい。無いよりはマシだ。」

 マーティンはミレーヌを第三騎士隊隊長のテントに案内した。やはりここには血の匂いが立ち込めている。

「副隊長、妹のミレーヌだ」
 マーティンは第三の副隊長に律儀に紹介した。
 そのためミレーヌも「騎士見習いのミレーヌです」と頭を下げる。

 それにつられ、副隊長も自己紹介をする。

 だけど彼としてはなぜこの場に騎士見習いを連れてきたのか理解できなかった。ただの妹自慢か、とさえ思ってしまった。
 まぁ、自慢できるくらいの美人だから、目の保養にはなるけれど、いいかな、と副隊長は思っていた。
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