皇子の婚約者になりたくないので天の声に従いました
6.デートの約束
 僻地赴任から戻ると休暇が与えられる。国境を脅かしていた魔物討伐を無事に終え、戻ってきた第三騎士隊と第五騎士隊は束の間の休息に入った。
 そしてなんとも運が良いことに、休暇と建国祭(けんこくさい)の時期が重なった。建国祭とはその名の通り、国が作られた日を祝うお祭りで数日間開かれる。騎士隊も交代制で任務につかなければならないが、僻地帰りの第三と第五はその任務の除外対象になった。

 僻地赴任から無事に戻ってきた第三騎士隊隊長のエドガーは、今回の報告書を作成するために王宮内の敷地にある騎士団の詰所に来ていた。他の隊員たちには休暇を命じてある。
 本来であれば、エドガーの報告も休暇明けで良いのだが、エドガー自身が休暇といっても特にやることも無いため、ここに来ていた。
 休暇中も、寝て、起きて、食べて、訓練して。それを自宅で済ませるだけにすぎない。寂しい男である。

「なんだ、来てたのか」
 と、声をかけてきたのは第四騎士隊隊長のロビーという男。
「第三は休暇に入ったんだろ」

「報告書の提出がある」
 眉一つ動かさず、もちろん顔もあげず、エドガーは答えた。

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