年下イケメンホテル王は甘え上手でいじわるで
 私も負けじと言い返す。案の定、金城のボールも池にはまった。そこからは泥仕合だ。調子のよかった5ホールが嘘みたいに私もミスを連発、金城も調子が崩れたまま前半戦は終了となった。昼食を挟んで後半のホールをまわるので、私たちはそのままレストランに向かう。
「あっ、沖縄そばがある、これにしよう」
 私はメニューを見ながら言った。
「俺もそれでいいや」
 金城は手をあげウエイターを呼ぶと
「沖縄そば二つ、あと生中二つ」
と手際よく注文する。
「ちょっと! 私飲まないから! だいたい今日は金城さんも車できてるじゃない、飲酒運転はダメよ」
「なんくるないさ~。ここ親戚が勤めてるからそのまま車持って帰ってもらうわ。帰りはタクシーな」
「も~」
 揉めてるうちに生ビールが到着する。
「はい、乾杯」
「・・・乾杯」
 仕方ない。ゴルフのスコアも芳しくないし、お酒を飲んだところでたいして変わらないだろう。私は口をつけてぐびぐびっと飲んだ。
「ぷっはー」
「おやじかよ!」
「ババアよ!」
 金城が吹き出す。さっきのラウンド中はまじまじと見なかったけれど、今は正面に座ってるから嫌でも目に入る。社長の顔とは全く違う、控えめな笑い顔。目尻にしわがきゅっとよって、金城は笑うと大人っぽく見える。なんだ、笑ってりゃいいのに。背も高いし、顔も濃いし、好きな人にはたまらない系統だろう。
「あんたさ、なんでジンのことが好きなの?」
「はあ? 好きじゃないけど?」
「はい、うそー。こないだ焼肉食いにきたとき、目が恋する乙女になってたからな」
「ちょっとやめてよ」
 私はきっとにらみつけた。
「まあ、あいつのこと好きにならない女はいねーよな。昔っからモテモテだったわ」
「へー」
 相づちが棒読みになる。
「ちっちぇころは、チビで弱っちかったくせに、年齢とともにどんどん変わってきてさ~ったく腹立たしい」
「ちっちゃい頃って、いつ?」
「あ? 小一とか二とか」
 そうか、夜逃げしてからはずっと沖縄で暮らしていたのか。窓の外を見るとゴルフ場の先に海が見えた。嵐もきっと苦労したんだろうなあとなんだかしんみりしていまう。
「あいつに何人女をとられたことか・・・」
とうらめしそうにつぶやいた金城を見て、前言を撤回する。苦労なんて最初だけで、女と楽しく生きてきたんでしょうね、はいはい、分かってます。
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