年下イケメンホテル王は甘え上手でいじわるで
「なっ、ちょっ、何言ってんのよっ、触らせるわけないじゃない」
「動揺しすぎ。まじであんたジンのことになると顔色かわるよなあ」
「変なこと言うからでしょ」
 私はぐびぐびとハブ酒を飲み干し、「泡盛ロック二つ!」と追加オーダーを入れた。
「すげー飲むじゃん」
「飲むわよ、金城さんのおごりなんだから! あ、あとゴーヤちゃんぷる、豚の角煮、お刺身盛り合わせも!」
 オーダーを取りに来た店員にすかさず注文を重ねる。
「おまえ、俺のこと男だと思ってねーだろ」
「金城さんもでしょ? でもだから、今日のゴルフとかも超楽しかったよ。なんか久しぶりに気を使わずにラウンドできた。ありがと」
「まあそうだな。俺もこんな楽な女ははじめてだわ」
 それから、くだらない話をして二時間ほど飲んだ。分かったのは金城は口と態度が悪いだけで普通の人ってこと。むしろ裏表があまりない人間だから私にとっては付き合いやすそうだと思った。
「会計するから先出とけ」
 入り口前のレジで金城が言った。
「分かった」
 私が金城の後ろを蟹歩きで通ろうとしたとき、ムニッと金城の背中に胸がつっかえてしまった。
「おい・・・」
 金城が半分振り返る。
「あぁ、ごめんごめん。普段はぺしゃんこだから、いつもと感覚が違って・・・」
 ぐいっと無理に体を通し、外に出た。潮風のにおいがして私は大きくのびをした。金城が出てくる。
「今日はありがとうございました。ゴルフにお洋服に、ご飯までごちそうになって」
 私は深々と頭を下げた。
「また行こうぜ、ゴルフ」
「えっ、いいの、行く行く。お給料入ったら普通に自分で出せるから」
「いや、そんくらい出すからさ。LINE交換しとこうぜ」
 スマホでお互いのLINEを交換すると
「じゃ、ホテルまで送るわ」
 すっと、金城の左手が私の右手を握る。
「え? 何よこれは」
 私が振りほどこうとすると、
「何焦ってんだよ、ウケんだけど。沖縄では友達同士でもこうやって手をつなぐんだよ」
「そうなの?」
「そうだよ、男同士でもフツーにつなぐからね」
「えーーー知らなかったよ、初耳」
「沖縄の常識です」
「そっか、じゃあ、私と金城さんは今日から友達ってことね」
「金城さんじゃなくて、ゴウ、な」
「じゃ、私のこともあんたとかおまえじゃなくてりこって呼んでよね」
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