年下イケメンホテル王は甘え上手でいじわるで
 ぶらぶら歩きながらホテルへ向かう。土地勘がないのでぜんぜん分からなかったが、沖縄料理居酒屋からホテルまでほんの10分ほどのところだった。
「じゃあまたな」
 ホテルの入り口で金城が手を離す。手が離れてなんとなくほっとした。やっぱり友達だからと言って手を繋ぐのは落ち着かなかったのだ。次の瞬間、金城が私を抱きしめた。
「おいっ」
 私が強めの口調でとがめるように言う。
「これも友達の印だから。別れるときはだいたいハグすんの」
「外国かよ・・・」
 金城は離れると
「まじ、おっぱいの感触最高~。さっき背中に押し当てられて、むらむらしちゃったわ」
とあっけらかんと言う。すかさず金城の腹にグーパンチを入れた。
「がっ・・・手加減しろよ~」
 情けない声に私は吹き出した。
「そういうことされないようにしてよね、じゃ、おやすみ」
 私はホテルに入った。振り返ると、金城はホテル前に待機しているタクシーに乗り込むところだった。
 エレベーターに乗って最上階を押した瞬間、男が乗り込んできた。それは紛れもない社長だった。
「社長・・・」
 私の心臓が大きくはねる。
 社長は私の姿を上から下まで見ると
「なんなの、りこねえ、そのかっこうは」
「えっ、あ、これはわけあって・・・」
「俺とのときはそんな格好しないくせに、なんでゴウといるときはそんな誘うような格好してるんだよ」
 社長はあからさまに不機嫌そうな顔と声で言う。
「説明が難しいんだけど、なんかなりゆきで・・・」
「つーか、手、つないでたし、抱き合ってたし・・・りこねえはゴウのこと好きなの?」
「違います!」
 否定したものの、先ほどの八神桃花との笑顔が頭に浮かんで、私はだんだん腹がたってきた。自分は八神桃花と会ってたくせに。あんなにかわいい笑顔で笑ってたくせに。私がちょっと金城と一緒にいたからってなんなのよ。
 ポーンと最上階をつげる音がエレベーターに響く。
「部屋で話そう」
 社長が余裕のない表情でエレベーターから降りる。私も続いて降りたけれど、そこから足を動かせなかった。
「どうしたの、早く部屋に行こう」
「社長が部屋に入るなら、私は、このままエレベーターで下に行きます」
「どうして?」
「・・・私は、社長に振り回されたくないんです」
「振り回すって・・・どういう意味? ぼくはただ、りこねえのことが好きで・・・」
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