年下イケメンホテル王は甘え上手でいじわるで
 私は部屋に戻ると、念入りに化粧をはじめた。と言っても化粧は得意ではないから極端に変わるわけではない。それでも社長に少しでもかわいいと思ってもらいたかった。胸を締め付けいてるブラジャーをほどき、金城に買ってもらったブラジャーに付け替えた。かわいい服なんて持っていないから、やっぱり金城に買ってもらったドレスを身につける。それから髪を入念にとかした。姿見に自分をうつすと急に気恥ずかしさが押し寄せる。こんなに気合いを入れて、社長のことを好きですと言っているようなものではないか。やっぱり着替えようかと逡巡していると、ドアが鳴った。私はあたふたしながら、かけてあったパーカーを上から羽織ると、ドアを開けた。
「は、早いですね」
 社長は私を見ると、ちょっと驚いた目をし、それからひどく不機嫌そうに言った。
「何、その格好」
 カアッと顔が赤くなる。私は慌てて、パーカーのファスナーを上まで引っ張りあげながら言った。
「あの、違うんです、ちょっと着てみただけで・・・着替え直すので、待っててください」
 私がドアを引っ張ろうとすると、がつんと何かに引っかかった。下を見ると社長の焦げ茶のお洒落な靴が挟まっている。
「待たない」
 社長はドアを乱暴に開くと、中に入ってきた。気がつくと私は入り口のすぐそばの壁に背をつけていて、社長の両腕は私の逃さないかのように私の顔の左右に置かれていた。社長は私にあわせて背をかがめている。顔が近くにあって、私は息苦しくなり顔をそむけた。心臓の鼓動がうるさい。
「そんなに、あいつのことが好きなの?」
 私の耳に口を押しつけるようにして社長が聞いてくる。耳がくすぐったくて私は小さく声をあげた。それから慌てて尋ねる。
「あ、あいつって・・・?」
「とぼけちゃって・・・。ゴウだよ」
 社長はせっかくしめたパーカーのファスナーをおろした。
「ち、違います」
「どこが違うの? 買ってもらった下着に、買ってもらったドレス着て・・・ゴウの店に行けるのが、そんなに楽しみ?」
 私はふるふると首を振った。
「私、持ってる服が他になくて・・・だから・・・」
「いいわけはいらないから」
 社長はぐいっと私のドレスの胸元を下にさげた。華やかなブラジャーがむき出しになる。
「こんなエロい下着、ゴウに買わせて・・・何を期待してたの?」
 耳をなめながら社長がささやいてくる。
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