年下イケメンホテル王は甘え上手でいじわるで
「そっちじゃない、ブロック」
 私は驚いて、LINEを確認しようとした。
「あー、じゃあジンだわ」
 私はLINEを開く手を止め、顔をあげた。
「ジンが勝手にブロックしたんだよ。こないだ俺もくぎさされたし。ほら、解除して解除」
「うーーーん・・・彼の嫌がることはしたくないから、連絡してもいいか聞いてみるね」
 迷いながら返答すると
「なんだよ、結局おまえもジンかよ。自分のことは自分で決めろよ」
と偉そうに言ってくる。
「友達同士は手を繋ぐなんて嘘を教えた人に言われたくありません」
 私がスマホを鞄に放り込んで言うと、金城がさもおかしそうに笑う。
「だって、信じるとは思わねーだろ」
「あの日の自分を消し去りたい・・・」
 私たちが談笑していると、流れていた音楽が少し小さくなり、もうけられたステージに嵐が立った。手にはマイクを持っている。
「みなさま、本日はお忙しい中、パラディースリゾートホテル創立5周年パーティーにお越しくださり、ありがとうございます。このような日が迎えられましたのも、ひとえにみなさまのおかげでございます。いろいろ話したいことはございますが、堅苦しい挨拶は割愛させていただき、是非楽しいお時間を過ごしていただきたいと思っております。このあと、大ビンゴ大会を予定しております。豪華賞品をご用意しておりますので、是非、ご期待くださいませ」
 嵐は映画のワンシーンのようによどみなくマイクに言葉を発していく。その姿は社長そのもので、ただただかっこよかった。
「・・・最後に、わたくしごとではありますが、この場をお借りして発表させていただきたいことがあります。・・・りこ、おいで」
 マイクで私の名前が呼ばれ、心臓が跳ね上がった。嵐がまっすぐ私を向いて手招きをする。こんなこと、聞いてない。私は挙動不審になりそうな動きを必死でこらえて、嵐を見つめて、ステージにゆっくりと向かった。ゆっくりなのは、ヒールが高いからであって、決してもったいぶっているわけではない。周りの視線を痛いほど感じ、私の足は小刻みにふるえた。私がステージにあがると、嵐は私の腰に手を回し、
「私の婚約者、滝田りこです」
と笑顔で紹介した。
 会場がざわめく。顔を伏せたかった、逃げ出したかった。でも、私は誰になんと思われようとも彼が好きなのだ。私は背筋をピンとたてて、前を見据える。
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