【5/10書籍2巻3巻同時発売】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック3巻発売中】
 それから三日ほど、タイミングが悪く彼に近付くことは出来なかった。

 城の衛兵がその檻の前で何かを言っていたり、他に人目があったり、市場での仕入れをしていたら時間に遅れて、人が集まり出したりで全く話す機会が出来なかった。

 夜遅くにぽつりと雨の音がしたその日、明日こそ話しかけると決意を固めた。

 夜半過ぎに大雨になったその朝、やっぱり土砂降りの大雨は降り続いていた。今日は花売りの仕事は無理だろう。雨が降ると外を歩く人が激減するからだ。

 スイレンはあまり得意ではない生活魔法で空気の傘を作り出すと、急いで広場までの道を走り出した。いつも持っている花が入った大きな籠がないと走りやすい。

 広場にある檻の中、無精髭が生えてきているリカルドは、椅子に座ったまま寝ていた。檻の中にはもちろんベッドなど用意されていない。

 スイレンはそれを見るとそっと吹きすさぶ風の中雨に濡れてしまった彼の服を乾かすための魔法をかける。苦手な浄化魔法も心の中で必死に唱えてはみるものの、服についた汚れが尋常じゃないせいか、あまり効かない。

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