【5/10書籍2巻3巻同時発売】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック3巻発売中】
「魔物退治……ですか?」

 朝食の時にスイレンはそれを聞いて、驚いてしまった。生まれ育ったガヴェアは国境を強力な魔物除けの魔法陣で守られているから、魔物は侵入してくるのは稀だ。しかも国の中心部の王都に居たから、その稀な機会にも出遭ったことはない。けれど、リカルド達ヴェリエフェンディの竜騎士は、その魔物からもこの国を守るのも仕事の一つだ。

「そうだ。何日か留守にするけど、これはいつものことだから、心配ない。すぐに帰ってくるよ」

 茶色の目が悪戯っぽくきらめく。もちろんリカルドの名前がこの大陸中に鳴り響いていることからわかる通り、彼がとてつもなく強いことは知っているが、それでも、心配になった。以前のように捕縛されてしまったら? そう思うと胸の動悸が痛いくらいに感じた。

「僕は行きたくない。スイレンと離れたくないし」

 しかめっ面をして駄々をこね出したワーウィックの頭を、ため息をつきつつポンと叩きながらリカルドは立ち上がった。

「お前が行かないでどうするんだ……集合時間に遅れる。ほら、行くぞ。ワーウィック。テレザ、スイレンを頼む」

「お任せください」

 胸を叩いたテレザに頷いてリカルドとワーウィックは家を出て行ってしまった。玄関を出て見送るスイレンに手を振って行ってしまう大きな背中が恋しい。

「スイレンさん、そろそろお仕事の時間ですよ」

 テレザに言われて自分も仕事に行かねばならないことに気がついて、慌てて家を後にした。
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