【5/10書籍2巻3巻同時発売】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック3巻発売中】
「そんな……あれは……」

 そこには、イジェマの元恋人であるジャック・ロイドの姿があった。ガヴェアの指揮官らしき人間と談笑しながら血塗れのリカルドに視線を向けている。嘲るような仕草には、とても彼等の解放の交渉をしているように見えない。

「……スイレン?」

 再三のクライヴの呼びかけにも応じることも出来ず、呆然とその様子を見つめてしまう。そして、頭の中で何かがカチッと嵌る音を聞いた。ジャックはリカルドをひどく嫌っていた。彼はいわゆるエリートと呼ばれる近衛騎士だ。ともすれば城で機密文書にも触ることも出来るだろう。リカルド達の魔物退治の出征計画なども知っていたのではないだろうか。

 もしかしたらイジェマのことだって……リカルドと婚約解消したと告げたら、彼女を捨てたと言っていた。婚約者だった彼女を利用してリカルドを貶めたかっただけ?

 背中に冷たいものが走った。ジャックがリカルドに向ける恐ろしい程の暗い執着と、底知れぬ憎しみを感じ取ったから。
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