【5/10書籍2巻3巻同時発売】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック3巻発売中】
「ええ。ジャック・ロイドが私に近づいた理由も分かったわ……それにいきなり捨てられた理由も。そんな顔しないでよ。今は理由がわかってスッキリしているんだから。それより、私、これから大陸へと旅に出ることにしたの。お父様も承知しているわ。私くらいの美貌なら引く手数多で縁談があるはず。振られたからってリカルドみたいな泥臭い竜騎士と結婚するなんてまっぴらよ」

 イジェマはそう言うといかにも清々したという様子で、リカルドの後ろで控えているスイレンの顔を覗き込みながら美しい顔で笑った。

「スイレンさん? 私だったらとても、魔の山にまで単身助けになんか行けないもの、勇気ある貴女とリカルドの幸せを祈るわ」

「イジェマ様……」

 ぽかんとして何も言えないスイレンに軽く手を振るとイジェマは颯爽と去って行ってしまった。取り残された二人で顔を見合わせて笑い合う。

「イジェマは元々ああいう奴なんだ。鍛えた体を持つ俺のことなんか欠片も好きじゃないし、都会的で洗練された美しいものが大好きな女なんだよ。きっと大陸で似合いの大富豪を見つけて結婚するだろうな」

 スイレンもきっとそうだろう、と思った。あれだけ美しいのは元の素材もあるだろうが、弛まぬ努力を本人がしていることが大きい。彼女の行先が何処であれ、きっと望むものを手に入れるだろう。
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