【5/10書籍2巻3巻同時発売】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック3巻発売中】
 城からの帰り、お見舞いのためブレンダンの家へと寄る。もっとも彼の家はリカルドの家から三軒お隣なだけだから、馬車から降りて散歩がてら歩いて行ける。

 スイレンはリカルドの隣をゆっくり歩きながら、すこし緊張するのを感じた。ブレンダンには揶揄われることが多くて直接きちんと告白された記憶はないが、今回、相棒のクライヴを通じてスイレンを守ってくれたのは間違いなくブレンダンだ。

 スイレンにはリカルド以外考えられないけれど、ブレンダンは優しく魅力的な人だ。助けて貰ったお礼はもちろん礼儀として言わなければならないけれど、顔を合わせるのは、やはり気まずい。

 彼の想いを受け取ることは、絶対に出来ないから。

「……リカルド? スイレン……!」

 呼び鈴を鳴らすと玄関を開けてくれたのは人化したクライヴだ。スイレンの顔を見てひどく嬉しそうにするその様子にリカルドはなんとも言えない顔で肩をすくめた。

「クライヴ! 昨日は本当にありがとう。貴方がいなかったら、きっと二人を助けられなかった。本当に感謝している。ありがとう」

 クライヴはその言葉を聞いてはにかんで、無表情に近いながらも嬉しそうな、照れくさそうな顔をする。クライヴがいなかったらリカルドもワーウィックも未だ捕らえられたままだったかもしれなかった。本当にいくら感謝しても足りない。

「そんなの良いから、早く入ろう。スイレン」

 クライヴはスイレンの手を引いてブレンダンの部屋があるだろう二階に続く階段を登り始めた。置いてきぼりになったリカルドが気になって振り向くと、彼は苦笑してドアを閉めるところだった。

「ブレンダン! スイレンが来てくれた」
< 193 / 299 >

この作品をシェア

pagetop