【5/10書籍2巻3巻同時発売】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック3巻発売中】
 リカルドは自身が血塗れになるほどの傷を負っていた。それを目の当たりにしてしまっていたからこの程度のアザで彼が顔を曇らせるのは、何だか違う気もする。

「……俺の背中の傷なら、もう塞がっているよ。見る?」

 何でもないように言うからスイレンは吃驚して、彼の笑った顔をまじまじと見た。リカルドは握られていた手を撫でてから、そっと離すと白いシャツを一気に脱いだ。逞しく鍛えられた筋肉が近くに見えて何だか無性に恥ずかしくなってスイレンは視線を外した。そんな彼女を見てリカルドは、呼びかける。

「スイレン、見て。ほら。綺麗に治っているだろう? 今回はイクエイアスが便宜を図ってくれて治療の魔法が受けられた。俺は傷跡は別に気にしないけど、君がこのことを思い出す材料にはしたくなかった。あの情けない姿を見られた過去はもう消せないけど、塗り替えることなら出来るよ」

「情けない、なんてこと思ってません。リカルド様は何も、何も悪くない」
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