【5/10書籍2巻3巻同時発売】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック3巻発売中】
 途中、ブレンダンが何か言ってきたような気がするが、前に座ったスイレンのことが気になってあまり覚えていない。

 背後から抱きすくめる形になっているのは完全に不可抗力だが、そのやわらかな感触と良い匂いがたまらなかった。今まで鉄格子に阻まれて触れることも出来なかったのだ。

 この高まっていく気持ちは察して欲しい。

 高速飛行を終え、竜舎に辿り着くととにかく家に帰ることだけを考えていた。上司である団長が呼び止めてきたような気もするが、無視だ。早くこの体を洗いたい。

 初めての飛行で腰が抜けてしまったのか、立てなくなっているスイレンをソファに座らせて、一目散に風呂へと向かった。

(……うわ。この顔で彼女の前に出ていたのか)

 久しぶりに鏡を見れば無精髭は伸び放題だし、今までの経緯を考えれば仕方のないことだが、髪の毛もべったりとしている。

 救いはスイレンの浄化の魔法が良い仕事をしていたのか、目立つ汚れはないことだろうか。汚れ切った騎士服を脱ぎ、急ぎ湯を浴びる。

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