【5/10書籍2巻3巻同時発売】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック3巻発売中】
「リカルド? リカルド! 固まっている場合じゃないよ。早く追いかけないと……」

 すぐ後ろに居たワーウィックのその声に、リカルドは我に返った。

 手にはスイレンが残した手紙だ。彼女らしい可愛い筆跡で色々と書いてはいるのだが、とにかく探さないで欲しいという言葉が頭をぐるぐると回る。

 何でだ。一緒に暮らそうと言ったら喜んでくれていたんじゃなかったのか。突然の事態に混乱する頭ではまともに物が考えられない。

 よろよろとリカルドは手紙を置くと、彼女の部屋にあるベッドに腰掛けた。自分がスイレンのためにと買い揃えたものはほとんどが残されていた。

 この家からほぼ身ひとつで出ていったのだ。

 騒がしいワーウィックも今リカルドの受けた衝撃をそれなりに察してはいるのか、大人しく隣に座って何も言わない。
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