【5/10書籍2巻3巻同時発売】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック3巻発売中】
 スイレンは自分と居ることを喜んでくれていると思い込んでいた。

 檻の中に居る敵国の人間に勇気を出して話しかけるくらいなのだ。自分のことを気に入ってくれたんじゃないかと、勘違いしてもおかしくはないじゃないか。

 あの可愛らしい笑顔ではにかむような表情を浮かべられれば誤解しない男などいないんじゃないか。

 今日、告白すればすべてが上手くいくとそう思っていた。絶対に受け入れてくれるという妙な自信があった。一緒に暮らしている家を出て行く程嫌われているなんて、かけらほども気が付かない程に。

 あの子は、どこにいってしまったんだろうか。

 ブレンダンに紹介された仕事でそれなりに稼いでいたことは知っていた。もちろんスイレンが頑張った対価なのだ、それをどうこう思ったりはしないが、もしかしたら今日のために貯めていたということだろうか。

 ……もし悪い奴らに攫われたら?

 スイレンは花魔法しか満足に使えないと言っていた。自分の身を守ることも出来ない。リカルドはそこまで思い至って立ち上がった。隣に座っていたワーウィックは複雑そうな顔でそれを見上げ、眉を寄せた。
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