【5/10書籍2巻3巻同時発売】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック3巻発売中】
「スイレン、ここに居たのか」
夕食の後、どこかに出掛けていたリカルドがスイレンを探して厨房まで入って来た。親しげなその様子にメイドは目を見張り、自分の勘違いに気がついたのかバツの悪そうな顔をした。スイレンは洗い終わったお皿を言われた通り棚へと戻すと戸口のリカルドの元へと向かった。
「君は俺の大事な客人なんだ。使用人のようなことはしなくて良い。テレザ、これ以降はスイレンに水仕事はさせないでくれ」
「かしこまりました」
テレザはさっきまでのくだけた様子が嘘のようにリカルドにかしこまって答えた。そう貴族である彼と平民である私たちはそのくらいの距離感で良い。それこそが生きていく上での処世術だ。
スイレンにもそれは分かっていた。分かっているのに。
「スイレン、君の寝巻きや普段着をいくつか買ってきたんだ。急ぎだったから下着なども知り合いの店でいくつか見繕ってもらった。君の使う部屋にも案内しよう。おいで」
リカルドはスイレンの顔を見て優しく笑うと手招きをした。リカルドは大柄で筋肉もあり見た目は怖そうに見えるが、そんな笑顔を浮かべると、まるで花が咲いたようだとスイレンは思う。男の人を形容するには似つかわしくないかもしれないが、彼の笑顔を形容するのにぴったりな言葉だ。
「はい……竜騎士さま」
「リカルドで良い。これからは俺と家族同然になるんだ。また妹にも紹介しよう」
家族同然、その言葉を聞いてまるで心臓が切りつけられたように痛んだ。そう、家族同然でも、きっと家族にはなれない。彼には美しい婚約者が居るのだから。
「リカルド様……その、私は使用人部屋でも大丈夫です。前に言ったように私は小屋に住んでいました。こんな立派なお屋敷に住まわせていただけるだけで有り難いんです」
「駄目だ」
リカルドははっきりと言った。
夕食の後、どこかに出掛けていたリカルドがスイレンを探して厨房まで入って来た。親しげなその様子にメイドは目を見張り、自分の勘違いに気がついたのかバツの悪そうな顔をした。スイレンは洗い終わったお皿を言われた通り棚へと戻すと戸口のリカルドの元へと向かった。
「君は俺の大事な客人なんだ。使用人のようなことはしなくて良い。テレザ、これ以降はスイレンに水仕事はさせないでくれ」
「かしこまりました」
テレザはさっきまでのくだけた様子が嘘のようにリカルドにかしこまって答えた。そう貴族である彼と平民である私たちはそのくらいの距離感で良い。それこそが生きていく上での処世術だ。
スイレンにもそれは分かっていた。分かっているのに。
「スイレン、君の寝巻きや普段着をいくつか買ってきたんだ。急ぎだったから下着なども知り合いの店でいくつか見繕ってもらった。君の使う部屋にも案内しよう。おいで」
リカルドはスイレンの顔を見て優しく笑うと手招きをした。リカルドは大柄で筋肉もあり見た目は怖そうに見えるが、そんな笑顔を浮かべると、まるで花が咲いたようだとスイレンは思う。男の人を形容するには似つかわしくないかもしれないが、彼の笑顔を形容するのにぴったりな言葉だ。
「はい……竜騎士さま」
「リカルドで良い。これからは俺と家族同然になるんだ。また妹にも紹介しよう」
家族同然、その言葉を聞いてまるで心臓が切りつけられたように痛んだ。そう、家族同然でも、きっと家族にはなれない。彼には美しい婚約者が居るのだから。
「リカルド様……その、私は使用人部屋でも大丈夫です。前に言ったように私は小屋に住んでいました。こんな立派なお屋敷に住まわせていただけるだけで有り難いんです」
「駄目だ」
リカルドははっきりと言った。