【5/10書籍2巻3巻同時発売】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック3巻発売中】
 ジャック・ロイドに下された判決は妥当なものだった。

 機密情報を持ち出し、敵国へと伝え、英雄と呼ばれている人物の身を売った。

 むしろ公開処刑にならなかったのが不思議なくらいだ。そこには近衛騎士として付いていた世継ぎの王女の嘆願があったと聞くが、もう自分にはどうでも良いことだろう。一生幽閉されているのだ。会う事もあるまい。

「お兄様、帰ってきたら、私達の結婚についても考えてね」

 ガヴェアへの出立の見送りにきた、すっかり健康になっているクラリスは恋仲の侍従のアダムとの結婚を望んでいた。

 自分達の結婚式を終えたらちゃっかりした妹の事も考えねばならないだろう。

 ただ一人の肉親であるクラリスがそれなりの身分を持つ貴族と結婚すれば、自分は当主の座を譲り平民となりただの竜騎士として生きていく道もあったのに、人生はままならないものだ。

「わかっているよ。留守は頼む」

 自分とそっくりな赤い髪を揺らしてクラリスは頷いた。

 デュマース家の領地をほぼ任せっきりにしている負い目もあって、リカルドはクラリスには弱かった。

 スイレンもこの妹から貴族としてのマナーを教育されているし、持つべきは頼りになる妹だ。イジェマと婚約している時はよく早く婚約解消しろとせっつかれたものだが、スイレンのことは気に入っている様子で、本当に良かったなと思う。

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