ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う
 リカルドは、眉を寄せながらゆっくりと下を見た。そこには美しい海の色そのままを映したような青竜が飛行して上昇してくる。

 それも、イクエイアス程の大きさがあるから、この世界にも何匹もいないという上位竜だ。

 その姿を見た驚きに声も出ないリカルドとスイレンに、その青竜は問うた。

(この魔法の花を落としたのはお前達か?)

 その厳しい響きの声は竜との契約を交わしていないスイレンにも聞こえたのだろう。もしかしたら上位竜の怒りを買ったのかもしれないと、震えた声で彼女は答えた。

「あの、私です。私の花魔法です。ワーウィックとリカルド様は関係ありません!」

 一人でその罪を被るつもりなのか、とリカルドが慌てた時に青竜はふんと鼻息を鳴らして言った。

(この甘い花気に入った。何か望みを叶えてやるから、もっと出してくれ)

 そのすこし照れくさそうにも聞こえる言葉を聞き、スイレンはリカルドを振り返って驚いた顔を見せると、それから満面の笑顔になった。

Fin
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