きみだけのメリー・プレゼント


「……朔くん」

「ん?」


 ぬくもりを共有するように、繋いだ手を握り返す。

 私が口を開くのを小首を傾げて待ってくれている朔くんに、微笑みながら向き合った。


「――大好き」


 私の大切なの恋人はちょっと驚いたように目を丸くするけど、照れくさそうに口角を上げてから、こつんと私の額に自分のそれを合わせてきた。


「俺も大好きだよ」


***


 駅に近い広場にはこの時期限定のクリスマスツリーが飾られていて、ツリーや周りに飾られたオブジェに装飾されている電球が眩いほどにきらきらと輝いている。

 大学1年の冬。年末年始に向けて一人暮らしのアパートから実家がある地元へと帰省した俺は、駅を出てすぐに近くの広場に足を運んでいた。そこで、あの子と待ち合わせをする約束をしていたから。

 聖夜の暗闇を照らすイルミネーションは温かく華やかで、大勢の人が引き寄せられたように集まってきていた。
 色とりどりの光の波を歩き出した俺は、すぐに目当ての人物の姿をその中から見つけ出す。

 彼女のことなら、どこにいてもすぐに見つけられる自信があった。いつだって、どこにいても、会いに行くよ。
 君が俺に会いたがってくれているように、俺だって同じくらい君に会いたいから、よりそう思うんだ。


「美鈴」


 イルミネーションで彩られた空間を演出するように、辺りにはクリスマスソングが流れている。逸る思いのあまり少し離れた場所から彼女の名前を呼んでしまったけれど、美鈴はざわめきと音楽の中から俺の声をしっかりと拾ってくれたらしい。

 正確に俺の方に顔を向けて、満面の笑顔を愛らしい顔に乗せる。


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